音楽部門はピアノの永沼絵里香さんである。東京芸術大学を卒業して札幌に戻った後は、独奏はもとより室内楽活動にも重きを置き、地元演奏家たちと共演を重ねて信頼を得てきた。その演奏は確実な技巧と柔軟性を持ち、レパートリーも時代やジャンルを超えた広いものを持っている。クラシック音楽に触れる機会に乏しい地方にも電子ピアノを持参して演奏を聴かせるなど、音楽文化を広める活動も展開している。
美術部門は日本画の葛西由香さんである。注目を集めた「明治物語」は札幌大谷大学の卒業制作で描いたもので、お菓子の「きのこの山」と「たけのこの里」を「平治物語絵巻」合戦の場の武士たちに見立てた、機知に富んだ作品である。その後も身近なものや出来事に画材を求め、親しみやすく、また日本画のイメージを更新するような作品を生み続けている。
共に、今後の展開が大いに期待され、道銀芸術文化奨励賞にふさわしい方々であるとして推薦させていただいた。
2024年度 道銀芸術文化奨励賞選考委員長 前川 公美夫
本賞は1991年(平成3年)の当財団設立と同時に制定されました。
これまで一貫して、北海道出身または在住の芸術家の中から、優れた芸術文化活動により将来を嘱望され、北海道の芸術文化の進展に貢献する新鋭芸術家または芸術団体を顕彰してまいりました。
毎年、北海道の芸術文化に精通した有識者による選考委員会にて受賞者を決定し、贈呈式を開催しております。また、受賞者には副賞として奨励金が授与されます。
これまで受賞された皆さまは、受賞後もたゆまぬ研鑽に努められ、今や北海道の芸術界を牽引する存在として、北海道はもとより世界へと躍進し、多くの人々に感動を与え続けています。
【 賞の概要 】
優れた芸術文化活動により将来を嘱望され、北海道の芸術文化の進展に貢献する芸術家または芸術団体に対して本賞を贈呈し、奨励金を授与する。
賞の対象者は、個人は北海道出身者または在住者、団体は北海道に主たる活動の場を有するものとする。
今年度の対象分野は音楽部門・美術部門、各1名。
「道銀芸術文化奨励賞選考規程」より一部抜粋
【 2024年度 選考委員 】(敬称略)
前川 公美夫 | 音楽評論家 |
八木 幸三 | 音楽評論家 |
本堂 知彦 | 北海道教育大学 名誉教授 |
柴 勤 | 小川原脩記念美術館 前館長 |
門間 仁史 | 北海道立近代美術館 企画推進課長 |
樋泉 綾子 | 札幌芸術の森美術館 事業係長 |
らいらっく・ぎゃらりい外観(ほくほく札幌ビル1階)